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  • 2022.09.09

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特定技能とは?外国人雇用のポイントや背景を解説

特定技能

特定技能は労働力不足の解消を目指して2019年4月に新設された制度です。今回は特定技能とはどのような制度なのか、分かりやすく解説します。人手不足に悩んでいる企業の方は参考にしてみてください。

特定技能ってなに?

 

特定技能とは外国人労働者の在留資格の一つです。国が「人手不足と認めた業界」に外国人を受け入れる制度で、12の特定産業分野で活用できます。

 

12の特定産業分野に該当するのは「介護」「ビルクリーニング」「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」「建設」「造船・舶用工業」「自動車整備」「航空」「宿泊」「農業」「漁業」「飲食料品製造業」「外食業」です。(注1)

 

これまで日本は原則として専門的な知識や技術、実務経験を持った外国人材を中心に受け入れてきました。特定技能は、従来のように高度・専門的人材だけでなく、より広く人材を受け入れるために創設された制度です。

 

(注1)以前は14分野でしたが2022年4月より「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」の3分野が統合され「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」に一本化され12分野になりました。

 

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和4年5月)」

 

出典:公益財団法人国際人材協力機構「在留資格「特定技能」とは」

 

 

特定技能1号・2号を解説

「特定技能」には1号と2号があります。

 

特定技能1号は、前述した12の特定産業分野に適用される制度です。1号の資格で来日するには、それぞれの分野の「技能試験」および「日本語試験」に合格するか、技能実習2号を良好に修了する必要があります。

1号を取得すれば、該当分野で5年間の就労が可能です。これまでの就労資格のように、認可に「学歴」や「母国での関連業務への従事経験」が不要なため、従来に比べると外国人にはハードルが低くなりました。

 

特定技能2号は、特定産業分野で熟練した技能が必要な業務で働く外国人向けの在留資格です。1号を修了した外国人の次のステップとして用意されたもので、試験の合格者に2号在留資格が与えられます。要件を満たしていれば更新可能。更新回数にも制限がありません。1号と異なり家族の帯同も認められており、日本に永住して将来にわたって産業を支えていく可能性がある人材を確保できます。

 

1号が12分野を対象としていたのに対し、2号の対象は2022年8月現在「造船・舶用工業」と「建設業」2業種のみです。しかし、2021年11月には政府が「特定技能2号の対象分野を拡大」する方向で検討しているとの報道がありました。拡大されれば、12分野の全てで「特定技能2号」が実質的に認められます。

 

出典:公益財団法人国際人材協力機構「在留資格「特定技能」とは」

 

特定技能と技能実習の違い

特定技能と「技能実習」では、制度の趣旨が違います。技能実習制度は人材を育成しながら開発途上地域への技能・技術・知識の移転を図る、国際協力を目的としています。一方、特定技能は深刻な人手不足へ対応するため、特定の産業分野で即戦力となる外国人材を受け入れるのが目的です。

 

技能実習生は基本的に転職できません。一方、特定技能では同一分野での転職が可能です。技能実習では常勤職員の総数に応じた人数枠がありますが、特定技能では「介護」と「建設」分野を除き、受け入れ人数に制限がありません。

また技能実習生は、国家間の取り決めがある14カ国からしか受け入れができません。一方、特定技能ではごく一部の国を除き、どの国からも受け入れが可能です。

 

出典:出入国在留管理庁「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組・技能実習と特定技能の制度比較」

 

日本の在留資格である特定技能の取得方法

外国人の特定技能の資格取得は、18歳以上で「特定技能評価試験の合格」または「技能実習の修了」が条件です。

 

技能評価試験には「技能試験」と「日本語能力試験」の2つの試験があります。技能試験の合否はそれぞれの分野で即戦力となれるレベルかどうかが基準です。

 

日本語能力試験には「国際交流基金日本語基礎テスト」と「日本語能力検定」の2つがあり、N4レベル(基本的な日本語が理解できる程度)の合格が想定されています。

 

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和4年5月)」

 

 

技能実習から特定技能への移行

技能実習を2年10カ月以上、良好に修了している外国人が「特定技能」への変更を希望する場合、必要な技能水準や日本語能力水準を満たしていると判断され、技能試験や日本語試験は免除されます。

 

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和4年5月)」

 

 

特定技能人材を採用する日本企業がすること

特定技能外国人を受け入れる企業・団体(受入れ機関)は、特定技能外国人に対して職業や日常生活の支援実施に関する計画を作成し、計画に従って支援しなければなりません。特定技能外国人への支援項目としては、次の10項目が義務付けられています。

 

  • 事前ガイダンス
  • 出入国する際の送迎
  • 住居確保・生活に必要な契約支援
  • 生活オリエンテーション
  • 公的手続などへの同行
  • 日本語学習の機会の提供
  • 相談・苦情への対応
  • 日本人と交流促進
  • 転職支援
  • 定期的な面談・行政機関への通報

 

受け入れ機関は自社で支援体制を整える、または「登録支援機関」に委託して、支援する責任があります。

 

出典:出入国在留管理庁「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組・支援計画の概要」

 

 

登録支援機関とは

登録支援機関とは、受け入れ企業に代わって支援を行う機関のことです。

登録支援機関になるためには、「中長期在留者の受入れ実績」など一定の基準を満たした上で、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があります。

自社に支援体制を整えるリソースがなければ、登録支援機関に委託してください。

 

出典:出入国在留管理庁「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組・登録支援機関とは」

 

 

まとめ

少子高齢化が加速する中、人手不足の業界では労働力需要を日本人だけでカバーできなくなってきました。そうした中、労働不足の解消に向けて、政府が力を入れているのが特定技能制度です。

 

2019年4月の創設以来、さまざまな改正がなされており、2022年度内には特定技能2号の適用拡大も予定されています。企業にとって制度を利用しやすい環境が今後も整備されていくことでしょう。利用を考えている企業の方は最新の動向をチェックするようにしてください。

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